後妻の子に相続権はあるのか?

相続10

近年では、離婚する夫婦も珍しくなくなりました。中には、離婚後に元夫と元妻の双方がそれぞれ別の相手と再婚するというケースもあります。そのような時に考慮しておいた方が良いのが相続の問題です。特に子供がいる場合には、実際に相続となった時にトラブルに発展する可能性があります。

ここでは、後妻となった相手に子供がいる場合に、その子供に相続権があるのかどうかについて解説します。

後妻の子に相続権はある?

後妻の子に財産を相続する権利が生じるかどうかは、亡くなった人とその子供との間に血縁関係があるかどうかがポイントとなります。ここでは、「亡くなった人」が後妻から見て夫であると仮定しましょう。結論から言うと、再婚後に後妻との間に生まれた子供であれば、亡くなった人は実の父で血縁関係があるため、自動的に相続人となることができます。

一方で、再婚して妻となった女性の連れ子の場合には、亡くなった人は継父で、血縁関係にないため、残念ながらそのままでは相続権は生じません。ここで一点、血縁関係があったとしても、嫡出子か非嫡出子かはまた別の問題ということには良く注意が必要です。

嫡出子というのは、婚姻関係にある男女の間に生まれた子供のことです。そして非嫡出子は、婚姻関係のない男女に生まれた子供のことを指します。非嫡出子は父親とは血縁関係がありますが、父親の認知を得ないことには相続人にはなれません。

他にも非嫡出子には、認知を得なければ父親の戸籍に入ることが出来ず、父親に対して扶養の請求をすることができないなどのデメリットがあります。さらに従来の民法では、嫡出子と非嫡出子の間に大きな違いがありました。

それは、財産を相続する時に、非嫡出子は嫡出子の2分の1の割合でしか相続できないという点です。しかしこの規定については、憲法違反という判決が最高裁判所によって平成25年に出されています。

したがって現在、相続分に関して嫡出子と非嫡出子は同等の割合となっています。これらをまとめると、「後妻の子」で亡くなった人との血縁関係がある場合には、婚姻関係にある男女の間に生まれた子供で、かつ嫡出子ですから、相続権は問題なく発生するということになります。

ちなみに、配偶者には常に相続権が生じます。再婚期間がどんなに短く例え数日間でも、年齢差がどの位あろうとも関係がありません。再婚の目的なども問いません。財産目的と周囲からは思われたとしても、婚姻届けを出していることで、法的には「婚姻の意思」があるとみなされるからです。

「後妻の子」に相続権がある場合の相続分

では、「後妻の子」に相続権がある場合、その相続分はどの位の割合なのでしょうか。民法の規定では、「2分の1を子供の人数で割ったもの」が法定相続分となっています。例えば、前妻の間に2人の子供、後妻の間に子供が1人いたとしましょう。

相続財産の総額が1,200万円であった場合、まず、現在の妻である後妻に600万円が相続されます。次に、残りの600万円を3人の子供でわけて、それぞれ200万円ずつを相続するということになります。

前妻の子供の方が相続割合が多いとか、後妻の子供が優先して相続されるなどの順位はありません。

相続権がない場合には養子縁組を考えよう

前述したように、後妻の子供で、故人と血縁関係がないという場合には相続権はありません。しかし、相続権を発生させる方法はあります。それが養子縁組です。養子縁組をしない限り、後妻と婚姻届けを提出して、連れ子ともども同じ1つ屋根の下で暮らしていたとしても、連れ子との間に自動的に法的な親子関係が生じるわけではありません。

後妻の子に財産を相続させたいという場合には、早いうちに養子縁組についてもしっかりと考えることが必要です。

養子縁組の種類

養子縁組の方法には2種類あります。1つが、特別養子縁組です。そして2つ目が、普通養子縁組です。特別養子縁組は、実親との親子関係を終了させて、養親のみとの間で親子関係を作る制度です。養親となる者に対する条件が厳しく、また、養子の年齢や環境に対しても条件が定められているため、通常はあまり利用されることはありません。

単に相続のために再婚相手の子供との間で養子縁組を結ぶケースでは、2つ目の普通養子縁組の方がよく利用されます。普通養子縁組を利用すると、養子は実親と養親それぞれの実子という立場になります。つまり、親が2組いるという形になるのです。

いずれの制度を利用して養子となっても、養子には実子と同じ割合で相続権が発生し、養子が何人いてもこれは変わりません。養子縁組を結びたいという場合には、養親か養子の本籍地、あるいは届出人の所在地にある市区町村役場で手続きを行うことが必要です。

再婚家庭に生じやすい相続トラブル

ここまでは、「後妻の子」に相続権が生じるかについて解説してきました。しかし、再婚家庭の場合には他にも、相続時にトラブルの種となりそうな問題があります。例えば、前婚の子供と後妻との仲があまり良くないといったケースです。

それまで音信不通だったのにも関わらず、相続時に突然子供が現れて、過大な相続分を主張する可能性があります。さらに、離婚の時点では子供がいなくとも、嫡出子と推定される実子が生まれていることもあり、誰が相続人となるのかを把握するのが難しいという問題も存在しています。

再婚家庭がしておいた方が良い相続対策とは

前項で述べたように、再婚家庭では相続の際にトラブルが生じやすいです。あらかじめ対策を考えておくことが、不要なトラブルを避けるための一番の方法です。対策1つ目は、「相続人をなるべく早く把握しておく」ということです。

これは、離婚時に子供がいた場合には必須です。現在は連絡を取り合っていなかったとしても、その居所を把握しておくようにしましょう。また、間違われやすいのですが、「親権」と「相続」は無関係です。例え親権を相手方に渡して、子供とも連絡が途切れていたとしても、子供に相続権があることには変わりがないので注意しましょう。

子供に関しては先にも少し触れたように、離婚時に子供がいなかったとしても、「嫡出推定」で嫡出子が増えている可能性もあります。「嫡出推定」とは、「離婚後300日以内に生まれた子は血の繋がり関係なく前夫の子と推定され、前夫の子として扱われる」という原則です。

この原則があるため、子供の数に関しては、早めに調査するなどしておきましょう。次の対策2つ目として、財産の処分方法について決定することができる遺言を、上手に利用するということが挙げられます。その場合、相続人にはもともと「遺留分(いりゅうぶん)」というものがあります。

これは、法律で保障されている最低限の遺産割合のことです。これを侵害されるような遺産の分け方がなされた場合には、その相続人は、侵害された遺留分を主張する「遺留分減殺請求権(いりゅうぶんげんさいせいきゅうけん)」を行使することができます。

つまり、前婚の子供に遺産を渡したくないからと遺言でその旨を明記したとしても、子供が遺留分減殺請求権を行使すればその希望は叶いません。かえってトラブルとなる可能性もあるため、遺言を作成する際には配慮が必要です。